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これについては、藤原不比等の話のときに触れたとおりです。
しかし、平安京遷都の際には、そのまえの長岡京遷都が失敗したためか、さらに徹底してすぐれた土地を選ぼうとしたようです。
そう考えてあらためて京都の地を見てみると、じつにずばぬけた立地条件であることがわかります。
京都に気をもたらす″祖山″は、北方にある丹波山地の山々です。
京都の町は、ここから走ってきた″龍″の上に乗っています。
とくに、当時の都の中心であった太極殿には、大文字山からの。
龍″もはいっていることがわかります。
″砂″もひじょうによい形で京都の町を守っています。
東側には、比良山系の山々、比叡山からの地龍、清水山が連なり、青龍砂として京都の町を包み込んでいます。
西側には、丹波山地からの地龍を受けた嵐山が、白虎砂となってやはり京都の町を包むような形で守っています。
このうち、青龍砂はそれ自体がすぐれた地龍となっており、清水山のあたりで頭をもたげている形になっています。
つまり、青龍砂自身がまた強い″気″を発しているのです。
このように、京都の地を守っている″砂″は、祖山から走ってきた″龍″に劣らないほど、すぐれたものとなっています。
また、南方は広く開けていて、東側からまわり込んだ鴨川と西側からきた桂川が合流して、大きな淀川の流れとなっています。
これも理想的な形です。
風水学では、北側に高い山が連なって後方を守り、南は大きく開けて海や川となっている、そして東西には低い山があって守りを固めている土地は、″四神相応の地″と呼ばれ、最高の相とされています。
まさに、京都はこの条件にぴったりとあてはまっている地だったのです。
ちなみに、この″四神″というのは、青龍・白虎・朱雀・玄武という架空の動物のことをさします。
この四つの動物が、それぞれ東西南北の守り神として、四方位の代名詞になったのです。
『平家物語』にも、都とする場所を探しに行った大納言と参議の二人が、桓武天皇に対して、京都が四神相応の地であることを奏上する場面があります。
「この地の体を見侯ふに、左青龍、右白虎、前朱雀、後玄武、四神相応の地なり。
最も帝都を定むるに足れり」(『平家物語都遷』より)奈良の高松塚古墳の壁画にも、男女の絵とともに、青龍・白虎・朱雀・玄武の四神の絵が描かれていたことは有名です。
こういった事実からも、当時の支配階級の人びとが、いかに風水の思想を重んじていたかがわかります。
このように、京都は四神相応にすぐれている土地だったために、遷都以来明治維新に至るまで千年以上も日本の都として君臨することができたのです。
また、明治以後も独自の文化をもった大都市として、現在まで繁栄をつづけていることは、すでにご承知のとおりです。
しかし、これほどすばらしい京都の地なのですが、私に言わせれば、難点がないわけでもありません。
というのは、さきほど述べた京都の土地の長所が、そのまま短所にもなっているからです。
たしかに、京都の土地は″砂″でしっかりと守られていますが、あまりにも固く守られすぎているきらいがあります。
つまり、″砂″の効き目が強すぎて、中と外がまじらなくなっているのです。
そこで、京都には「伝統的・保守的・頑固……」という性質がつきまとっていきます。
京都の人が頑固なまでに伝統や習慣にこだわり、外の者をはねつけるような一面をもっているのは、どうやらこういうわけだったようです。
そこに住む人びとの性格も、やはりその土地の気にはぐくまれるのでしょう。
水龍に守られていないと、ぶひもかれてしまう点穴をするときに、″龍″″穴″だけでなく、″砂″がいかに重要かということはおわかりになったことと思います。
しかし、″砂″のほかに、もう一つたいせつな条件があります。
それは″水″です。
強いエネルギーをもった″龍″が走ってきて、あるところで″穴″を結び、それを″砂″が守っていたとしても、それだけでは十分ではありません。
その″穴″を″水″がうるおしていないと″穴″の気はほどなく枯れてしまいます。
″穴″に生気を吹き込むために、″水″は絶対に必要なものです。
″水″がなくては、生気を保つことはできません。
これは、水分のまったくない砂漠の世界を想像してみれば、すぐにわかることでしょう。
″水″というのは、海の水でも川や湖の水でもかまいません。
また″穴″のすぐそばになくてもかまいません。
ただし、″穴″から見える範囲にあることが条件です。
そうすれ風水では、九曲水とよばれる理想的な水の形。
水が何度もカーブを描きながら流れて行っている。
こうした場所では、″穴″の気が一定に保たれるのであるば、″水″の気が″穴″に届きます。
このように、占丿穴には、″龍″″穴″″砂″″水″という四つの条件がうまくそろった場所を探すことが必要とされます。
私たち風水師にとっては、この四つの条件がそろった土地を探すことが、大きな仕事になるわけです。
ここで、あらためて「風水」ということばに注目してみましょう。
そもそも風水とは、「風を読み水の流れを見る」ということにほかなりせん。
「風を読む」とは、地龍からわきでる気のゆくえを見つけることです。
これまでにお話ししたように、″穴″からわきでる生気が、風によって散ってしまわないように、その土地をとりまく山の形や高低を見きわめて、風の動きを知ることをさします。
つまり、これが先に説明してきました″砂″のことです。
「水の流れを知る」というのは、″穴″の前を流れる″水″をうまく取ることをさします。
″水″をうまく取ることは、点穴ではきわめて重要なポイントです。
そもそも川のことを風水師は″水龍″と呼び、点穴のさいには″地龍″とおなじように扱います。
場合によっては、水龍を地龍以上に重要視することさえあるのです。
というのは、風水学では、水龍は「大気の生気」とでもいうべきものだからです。
すなわち、水は「天の気」が形を変えて雨となり、それが地上に落ちて川となるものと考えられています。
この水のように、天と地のあいだを行き来する気があるために、植物も動物も生きていくことができるわけです。
そのため、気の流れをつかむ上では、″龍″や″砂″を見るよりも、″水″を取るほうが優先されるほどです。
それでは、どういう″水″が霊力をもっているのでしょうか。
″水″を見るときには、まず第一に、″水″と″穴″との位置関係をたしかめます。
やはり″砂″とおなじように、″穴″を″水″がとりまくような形になっているものがよい相です。
このような形を「抱水」と呼びます。
反対に、″穴″に対して背を向けるような形のものは「勲が」と呼んで、悪い相とされます。
また、水がまっすぐに去らないで蛇行しながら出ていくのが、理想的な相です。
これは「九曲水」と呼びます。
九曲水をとることは、風水の基本中の基本です。
″穴″の前で水が渦をまいたり、一回まわったりしているのも、よい相とされます。
いずれにしても、長く走ってきた″龍″が、水を飲んでゆっくりと休養をとるような形になっているものがよい相です。
そういう場所があれば、″龍″の気はふたたび満ちてきます。
そうすれば、″穴″には、しぜんと生気があふれていくのです。
ぶひを探し出す風水師の秘密兵器「羅盤」我われ風水師にとって、すこしでもよい″穴″を探すのは、重要な仕事の一つです。
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